『どうで死ぬ身の一踊り』西村賢太の感想・レビュー

内容

藤澤清造という極貧生活を赤裸々書いた私小説を描きながら公園の上で凍死した作家に傾倒する主人公。

その愛は異常で藤澤清造の墓をなんとか譲り受け狭い部屋に置くなどする。

藤澤清造の伝記を刊行することを心に誓いつつ、一緒に暮らす女に暴力を振るう日々。

何んのそのどうで死ぬ身の一踊り-藤澤清造

この本の表題にもなっているどうで死ぬ身の一踊り。元は藤澤清造の詩である。

どうやっても世間から疎まれてしまう自分の人生を振り返り、捨て身と開き直りに至った藤澤清造の気持ちがよく表れている。

経済学者の成田祐輔もいざとやったら死んじゃえばいいじゃないですかと言ってた。

自分も不安な時とかこういう思考なる。結構使える考え方だと思う。

「自分を全く美化していない」

解説にも書いてあったが、まさにこれ。主人公に全く憧れない。共感も少ない。ほんとに1人の人間のありのままが書いてある。

この人の小説をよんで純粋という言葉が思い浮かぶから面白い。普通、こんなどうしようもないDV男に使う言葉ではないだろう。

でも純粋と思ってしまう。

世の中をどうしたいとかこういうテーマとかいう理念が全く感じられないこういう小説もかなり良さあるなぁ。

ちなみに西村賢太はこんな人です。

芥川賞を取った苦役列車も読んだけど、映画あるみたいだから見てみたい。

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