看護婦のジュディスが収容所に送られたのは23歳のとき。
父はすでに他界しており、母、兄弟姉妹、婚約者、叔父叔母らはみな次々と収容所で殺され、たった1人生き残る―。
収容所の現実、解放後の苦しみ、その後の人生を綴った、生還者の回顧録
感想・印象に残った点
異常なサディズム
気を失った女に対して、ナチス親衛隊はこんな事をした。石の塊を持ち上げて彼女の身体や顔に投げつけたのだ。そしてその日の午後収容所に戻ると、彼女の身体の飢えにはまだ石がそのまま乗っていた。
男はその石をどけると「少し気分は直ったか?」といい、履いていたブーツを娘の胸に乗せるやいなや、全体重をかけて、踏み潰したのだ。彼女の助骨が折れる音が聞こえたという。
とても人間の行いとは思えない。戦争の時代では普通だったのだろうか。以上ではなかったのだろうか。たしかに戦国時代を考えると、普通だったのかもしれないなと思う。
汚物まみれのパンを食らう
余り飢えていて、汚物まみれのパンすらも平気で食べたのだという。ときには、自分の非付や爪をかじり取って食べたのだ。そうしないと空腹で眠れないから。
豚だったら良かったのに
あまりの飢えにこう思っていたいたのだという。豚になれば毎日食料を与えられるからだ。家畜以下の扱われ方をしていたのだ。
情婦
作者は看護師として働いていた。同じ職場の中にナチ親衛隊の情婦(愛人)になることで恩恵を受けていたものがいたという。人間とみなしていないのかと思っていたから少し意外だった。
翻訳
この本の翻訳はたまたまジュディスの農場で卵を買っていた日本人によるものだった。彼女がホロコーストの生き残りであることを知り、「この本は日本語に翻訳されていますか」と口に出していたのだという。そして数カ月間、何度もジュディスの元に通いながら、翻訳したのだそうだ。
ToDO
・興味が個人のストーリーではなく、なぜこんなことになったのかという全体像へ向いてきた。
→芝さんの「ホロコースト」買った。