あらすじ
少年院で心理学的な面から犯罪を犯した少年たちを見てきた著者。その経験の中で本来は社会の福祉によって保護され配慮されるべき人たちが、加害者となって初めて治療の対象となる現状に気づいた。
彼らは反省以前の子どもたち。つまり知的障害などによって、社会性、身体性、知性に障害を抱えた人間だったのだ。
感想
最近はオウム真理教信者へのインタビュー集「約束された場所で」や川崎祖母殺害事件の少年の手記「誰もボクを見ていない」などを読んでいた。そのなかで、日本の社会に馴染めない人たちの受け皿となるサブシステムがないことが問題だと感じていた。
例えば今の日本では親からも愛されず、学校にも馴染めない子どもがいた場合、それだけで本人に生きる場所がない。もちろんフリースクールなど、普段の学校よりも自由に通える無料の学校もあるのだが、調べたところ、大阪でも4つしか出てこなかった。
私はこのような社会に馴染めない人たちを見るとすごく助けたくなることに気づいた。それは自分も孤独で、普通の社会から阻害されていると感じた時期があった事が大きいのだと思う。
私は自分の人生でこの人達を助けていくことを一つの軸にしようと考えていた。しかしまだまだ知識不足だったので、まずはできることをやろうと、定期募金に参加してみたところだった。
この本は「社会へ馴染めない人たち」をどうやったら救えるかの答えに近いものを提示していると思う。すごい本だ。
それは「認知機能の向上」だ。少年犯罪する人たちは、見る力、聞く力、見えないものを想像する力が弱いがゆえに様々な問題が起き、加害者になってしまうということがわかりやすく書いてる。
つまりここで紹介されているようなコグトレなどを行い認知機能を鍛えれば社会でそれなりに上手に生きていけるようになるのだ。
本来は、教育現場での障害のある子の早期発見、配慮が重要。でもその仕組はまだない。でもヒントは得れた。めっちゃいい本でした。