本書の内容を簡潔にいうと「人間の脳は普通の気分のときでも、ネガティブな気分のときでもなく、ポジティブな気分のときに最もよく働くようにできている。だから脳を再訓練してポジティブ脳を手に入れよう」ということだ。
あなたも薄々気づいているかもしれないが、「一生懸命努力すれば成功する」のではなく「ポジティブで幸せな気分のときに成功する」のだ。
この本ではポジティブなとき脳のパフォーマンスは最も高くなることを幸福優位と呼ぶ。そして幸福優位について数々の研究を紹介しながら、その効果を証明し、そしてどのように行動すればいいかまで解説してしまう。
再読不可避な一冊。
3つの気づき
●「平均的なものだけを学ぶなら、我々は平均的なレベルにとどまる」
これはNetflixやYou Tubeなどインスタントにドーパミンを出せるコンテンツにとらわれず、読書や筋トレ、ビジネス、女の子のデート、友だちと遊ぶことに集中しようと、思わせてくれる言葉だ。
芸能人の不倫を永遠と報道するニュース、次々とレコメンドされて気づいたら2時間経ってるYou Tube、今後同窓会で一回合うかどうかレベルの友だちの情報をひたすらインプットするためのインスタ。
現代はあまりにも、どうでもいい情報で溢れている。インプットしたところで、今後の人生に役立つこともなければ、インプットしている時間が楽しいわけでもない、3時間インプットすれば3時間失うだけで前後で自分にはなんにも変化のない、正真正銘の無駄。
経済学者の成田悠輔さんは、日本のメディアに関して「しょうもないニュースを量産して、しょうもないニュースをインプットした人間が、またしょうもないニュースを作り上げている。そんなくそみたいなことに人生を浪費している人たちに心からの軽蔑を感じますね」的なことを笑顔で批評していた。
24の人格を持つビリー・ミリガンのことを思い出す。24の人格のリーダーであるアーサーはそれぞれの人格に次のようなことを呼びかけた。「表に出ている時間は自分の専門性に磨きをかけるように。テレビなどをみて時間を浪費しないこと。」
結果的に、ビリー・ミリガンは絵、電気、医学、縄抜け、武術の達人になった。
僕は僕の人生のより良く生きるために、本能をジャックし時間を浪費しようとしてくるコンテンツたちに嫌悪感を感じ、軽蔑しなければならない。
●瞑想をすると幸福を感じやすくなる
瞑想をすると幸福を感じやすくなる。幸福を感じる部分である左前頭葉前部皮質が発達するからだ。
事実、何年も瞑想している僧たちは左前頭葉前部皮質が発達している。
しかし幸福感を得るために人里離れたお寺で10年間修行を積む必要はない。毎日たった5分の瞑想をするだけで効果が出ることがわかっている。
瞑想のやり方は呼吸に意識を集中し、他のことを考えたら意識を呼吸に戻すだけ。
私は呼吸を吐くときに全身の筋力から力が抜けることをイメージするか、進撃の巨人の巨大樹の森のような大自然の中で深呼吸しているイメージをすると、うまく瞑想できる。
しかしはじめは5分も継続できないだろう。瞑想はなかなか練習が必要だ。
だが瞑想は最も効果の高い「幸福介入」の一つであるとわかっている。
瞑想をした直後、人は安らかで満ち足りた気分になり、知覚と共感が高まる。また定期的に瞑想すれば、脳の配線が永久的に変化して、幸福感が高まり、ストレスが減り、免疫機能さえ向上するという研究がある。
私は仕事の休憩時間に瞑想をするようにしているが、あきらかに疲労が取れて、気分が良くなることを実感している。
●テトリス効果
テトリスを10時間やった人間は、外で目にする車や、自動販売機もテトリスのブロックのように感じてしまう。これがテトリス効果だ。
たとえばTwitterやYou Tubeで発信者を批判している人がいる。これらの人は、人の悪いところを探す脳の訓練をしていることになる。彼らは何見ても物事の悪いところにすぐ気づく。長年にわたってそういう能力が鍛えられているからである。
私も中学2.3年ときは、人や物事の悪いところを見つけて話のネタにした。みんなが笑ってくれるからより見つけるようになったわけだ。そのころはネガティブを見つける能力が鍛えられいたのだろう。
どんな状況でもチャンスを探しタフに生き抜ける人間、またはどんなときでもポジティブではこれとは逆のことが起こっている。つまり脳がポジティブな面を見つけるようになっているのだ。
脳がポジティブな面に注目するようになると「幸福」「感謝」「楽観性」の3つの恩恵を受けられる。
まず「幸福」について。ポジティブな面を見るほど幸福度が上がり、脳のパフォーマンスが最大化することはすでに紹介した通り。
次に感謝について。ポジティブなほど人は感謝の気持ちを覚える。そして感謝を忘れない人たちは、そうでない人たちよりも、より活発で、心の知能指数が高く、寛容で抑うつ的になりにくく、不安や孤独もかんじにくいことを数多くの研究が証明している。
最後に「楽観性」について。ポジティブな面を見れば見るほど、いいことが続くだろうと思えるので楽観性が増す。
ポジティブな面に注目するよう脳を鍛えるには反復練習が必要だ、具体的にはいいことを毎日リストアップすることである。とても単純なことだがこれが人の脳の配線に及ぼす重大な効果が10年以上に渡る研究で証明されている。書き出す内容は具体的であるほどよい。
私はすでに一日の終りにこれをやっていた。しかしこれほどまでに良い効果があることは知らなかった。そのためより負荷をあげようと思う。具体的には朝、昼、晩、良い点を書き出すのだ。良い点を書き出そうとする機会が多いほど「良いところ思い出す」回数が多くなるので、脳は強化される。
1週間ほど継続しているが、幸福感の上がり方は著しい。「これができた。これもできた。こんなことがあった」と書いていくので、人生の充実感のようなものを感じるのだ。
3つのTodo
●仕事の休憩中に瞑想をする。
●良かった点を朝、昼、夜と書き出す。移動中に良かった点を考える。
●幸福だと思える反事実を考える
・もしかしたら「もっと悪いこと」になっていたかもしれない